芭蕉と蕪村と若冲
憧れの松尾芭蕉
紀行文「奥のほそ道」において、「古池や蛙とびこむ水の音」や「閑さや岩にしみ入る蝉の声」などを詠んだことで知られる松尾芭蕉は、俳句という文芸を和歌とならぶ文学的地位へ高めました。芭蕉の死後50年が経過した1743年頃から、芭蕉を顕彰する動きが盛んになります。この運動を京都で牽引したのが、与謝蕪村です。蕪村は20代から江戸で俳諧を学んだ後、およそ10年間かけて、北関東から東北地方を僧侶として遊歴。各地の歌枕や、芭蕉が訪ねた場所を巡りました。42歳頃から京都に定住。以後、中国の南宗画に学びながら山水図を描き、また絵と発句を書き添えた俳画という新しいジャンルを確立しました。
第1会場の嵯峨嵐山文華館では、芭蕉の俳句や絵画と共に、後世の画家たちが描いた俳聖《芭蕉図》の数々を展示致します。芭蕉に憧れてやまなかった蕪村の手による俳画、さらにパトロンや弟子たちとの関係が窺える蕪村直筆の手紙をはじめ、弟子たちの作品もご覧いただきます。
蕪村と若冲、そして野ざらし紀行図巻
一方、蕪村と同じ年に伊藤若冲は、京都錦小路の青物問屋「枡屋」の長男として生まれます。23歳で家業を継ぎますが、40歳で隠居し画業に専念。代表作《動植綵絵》のような極彩色の絵や水墨画などを、85歳で亡くなるまで精力的に制作しました。
蕪村と若冲は四条通界隈の非常に近い場所に住んでいたことがわかっていますが、現在のところ互いの交流を示す史料は確認されておらず、画風も全く違います。が、中国人画家・沈南蘋の絵画を学ぶといった共通点もありました。
第2会場である福田美術館では、幻の名品である芭蕉の自筆自画《野ざらし紀行図巻》を特別に一般公開。今回、福田コレクションに加わったこの図巻は、紀行文全体にわたって書とともに挿絵が描かれた大変珍しいものであり、芭蕉が絵画にも強い関心を寄せていたことを示す、大変貴重なものです。
また若冲筆《蕪に双鶏図》や蕪村筆《猛虎飛瀑図》など、若冲と蕪村の代表作も多数展示。当時最先端の技法を真摯に学びとり、己の画風に取り込もうとしたふたりの努力の跡をご覧ください。
芭蕉、蕪村、若冲。誰もが知っている江戸時代中期の偉大な芸術家三人が到達した芸術の境地を、俳諧と絵画を通して心ゆくまでお楽しみください。
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展覧会概要
タイトル | 芭蕉と蕪村と若冲 |
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会期 |
2022年10月22日(土)~ 2023年1月9日(月・祝) |
開館時間 | 10:00〜17:00(最終入館 16:30) *11月12日(土)から12月4日(日)までは17:30閉館(最終入館17:00) |
休館日 |
11月29日(火)(展示替) |
入館料 |
一般・大学生:1,300(1,200)円 ※( )内は20名以上の団体 料金
※福田美術館のオンラインチケットをご利用の方は、嵯峨嵐山文華館を団体割引料金で利用可能。従って、共通券と同じ金額で両館を利用することができます。 |