2025年2月8日(土)

万博・日本画繚乱 ー北斎、大観、そして翠石ー

万国博覧会(万博)は、世界各国の最先端の科学や技術の粋を集めて開催される、世界最大の国際博覧会です。美術もまた、国を代表する先進的な技術だと考えられていた近代には、日本は国際的に認められるために国主導で積極的に出品し、先の時代の作家たち――葛飾北斎などの作品や、現役の日本画家たちの意欲作をも、万博という特別な場に送ったのです。

多くの場合、彼らの作品は貴重な外貨獲得のために万博を開催した国でそのまま販売されてしまったため、現存しているものはほとんどありません。しかし、万博出品作に注がれた画家たちの熱情と画技は、他の作品にも宿っているもの。本展では、万博という特別な機会に自身の芸術で国際的な場に挑んだ画家たちの名品の数々で、関西で万博が開催される記念の年を彩ります。

第1章 万博と美術

万国博覧会(万博)の歴史は、1851年のロンドン万国博覧会から始まります。現代の万博で、各パビリオンや展示物に賞が与えられて、優劣が確定するようなことはありませんが、当時は出品物が審査の対象となっていました。優れたものに意義を認め、顕彰することが、進歩に繋がると考えられていたからです。明治時代の日本は、文明開化からそれほどの時間が過ぎておらず、産業技術では欧米に対抗して賞を獲得することは難しい状況にありました。そこで日本政府は絵画であれば個人の才能によって賞を獲得することが可能であると考え、多くの日本画家の作品を万博の場に送りました。この章では、万博に出品した画家たちの作品で、当時の日本のチャレンジを振り返ります。

第2章 万博連覇の幻の巨匠 大橋翠石の芸術

日本画家・大橋翠石(1865~1945)は、日本美術史上、生前と現在の評価の差が最も激しい作家と言っても過言ではありません。翠石は1900年のパリ万国博覧会で迫真の虎の絵を出品し、日本人画家として唯一の金メダル(金牌)に輝き、さらに4年後のセントルイス万国博覧会でも連続して金メダルを受賞しました。

しかし現在、翠石の名はあまり知られていません。美術愛好家はもちろん、専門家でもほとんど作品を見ることがなく「幻の巨匠」とも呼ばれています。それは彼の虚弱な体質や内向的な性格から、京都や東京ではなく岐阜や神戸に隠棲して、弟子をとらずどの画壇にも属さなかったため、没後は研究者の注目を集めにくかったことが原因のひとつと考えられます。そのため日本全国の美術館で翠石の作品を所蔵しているところはほとんど無く、複数の作品をまとめて目にする機会はなかなかありません。福田美術館では、「誰もが感動する」作品を、というコンセプトのもと大橋翠石の芸術にも注目し、全国でも最多である 21点を所蔵しています。 本展覧会では、翠石の遺族やコレクターからも借用した名品を集め、西日本初となる計25点の翠石作品が一堂に会する大規模展示を実施します。

第3章 翠石がライバル?竹内栖鳳の芸術

日本画家として、既に才能を認められ、京都画壇の第一人者と目されていた壮年期の竹内栖鳳もまた、パリ万博の出展作品に選ばれ、現地まで足を運んでいました。しかしながら、1900年パリ万博に出品された日本画は、97名の134点。そのうち、金メダルに輝いたのは大橋翠石の《猛虎之図》のみでした。本展最後のこの展示室では、ここ京都から万博に挑んだ画家の代表格、栖鳳の芸術世界を、《猛虎》(前期展示)・《獅子》(後期展示)の名品と共に振り返ります。

なお、8月は小学生の入館を無料といたします。またご好評いただいている「喋っていいDAY」を本展覧会からは火曜日だけでなく日曜日にも開催いたします。来る夏休み、大阪関西万博だけでなく当館にもぜひご家族でお立ち寄りください。

展覧会概要

タイトル   万博・日本画繚乱 ー北斎、大観、そして翠石ー
作品リスト   日本語作品リスト
会 期

2025年7月19日(土)~ 2025年 9月28日(日)
 前期 2025年7月19日(土)~ 8月25日(月)
 後期 2025年8月27日(水)~ 9月28日(日)

※毎週火曜日・日曜日は「喋っていいDAY」

開館時間  10:00〜17:00(最終入館 16:30)
休館日 

8月5日(火) 9月9日(火)設備点検
8月26日(火)展示替え
※嵯峨嵐山文華館のみ9月18日(木)も休館

場 所

福田美術館(京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16)・嵯峨嵐山文華館 (京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町11)

入館料

一般・大学生:1,500(1,400)円
高校生:900(800)円
小中学生:500(400)円
障がい者と介添人1名まで:各900(800)円

※( )内は20名以上の団体 料金
※幼児無料


嵯峨嵐山文華館との二館共通券
一般・大学生:2,300円
高校生:1,300円
小中学生: 750円
障がい者と介添人1名まで:各1,300円

福田美術館のオンラインチケットをご利用の方は、嵯峨嵐山文華館を団体割引料金で利用可能。従って、共通券と同じ金額で両館を利用することができます。オンラインチケットには利用日に制限がありますが、9:30から入れる朝活チケットもございます。ぜひご利用ください。

後 援  

京都府 京都市 京都市教育委員会 京都商工会議所

 
※本サイトの画像を無断で二次使用、転載することを禁じます