京都の巨匠・木島櫻谷 画三昧の生涯
木島櫻谷(1877−1938)は、近世の伝統を受け継ぎながら徹底した写生を礎に独自の画境を切り開いた巨匠です。この度、福田美術館と嵯峨嵐山文華館では2021年の「木島櫻谷展」から約3年半の時を経て、満を持して回顧展を開催します。
第1章 画三昧の日々
京都の三条室町に生まれた日本画家・木島櫻谷は、16歳から花鳥画を得意とする今尾景年に師事し、徹底した写生を礎に若くして画名を知られるようになりました。
明治時代の絵の勉強といえば、手本通りに対象を描き写す「臨画」(りんが)が主流でしたが、櫻谷は漢詩にも精通していたうえ、歴史画を得意とする菊池容斎に私淑し、洋画家の浅井忠とも交流して芸術への造詣を深めていました。こうした努力が実を結び、青年期から頭角を現した櫻谷は、明治40年(1907)に始まった文部省美術展覧会(文展)において動物画、歴史画、風俗画など多岐にわたる画題で6年連続の上位入賞という快挙を成し遂げます。第1章では彼が若い頃に描いた作品や展覧会出品作とともに、櫻谷と関連のある画家も併せて紹介します。
第2章 京都の巨匠・木島櫻谷
他人との関わりをあまり好まなかった櫻谷は、大正2年(1913)になると京都の市中から北西に位置する衣笠へ移住し、制作の傍ら、趣味の詩書に心を寄せる隠居生活を送りました。一方、画家としては人々から大きな期待を寄せられ、帝展の審査員を務めるほか、海外の展覧会にも出品を依頼されるなど、京都を代表する画家としてゆるぎない地位を築きます。
第2章では100年以上もの間行方不明だった櫻谷と岸竹堂の共作《嵐山清流》、4月26日(土)から5月10日(土)までの2週間限定で展示する名作《寒月》など、文展での活躍期から晩年期にいたるまでの精緻で優美な作品を紹介します。
第3章 京都の精鋭画家たち
第3章のパノラマギャラリーでは、福田コレクションが所蔵する櫻谷の扇絵3点とともに、京都画壇による「オハグロトンボ」や「京茄子」など夏の風物詩が描かれた団扇計12幅を掛軸に仕立てた作品を展示いたします。木島櫻谷をはじめ、今尾景年、鈴木松年、菊池芳文、竹内栖鳳、神坂雪佳、谷口香嶠、山元春挙、西村五雲、西山翠嶂、菊池契月、川村曼舟ら京都を中心に活躍した画家たちが、団扇というキャンバスに各々の感性を活かして描いています。
<第二会場:嵯峨嵐山文華館>
櫻谷が拠点を移した閑静で自然あふれる衣笠の環境が作品制作にも適していたのか、同地にはその後、菊池芳文・契月父子やその塾生たち、土田麦僊、村上華岳、小野竹喬をはじめとする国画創作協会の若手画家などが集うようになります。そのため衣笠は「絵描き村」と呼ばれるようになりました。
嵯峨嵐山文華館では、衣笠にアトリエを構えて絵筆をとった画家たちの作品を取り上げるとともに、櫻谷が取り組んだ多様な画、人となりが偲ばれる書なども展示します。また櫻谷の息遣いを感じられる、愛用の帽子やトランクなどの遺品も公開します。
展覧会概要
タイトル | 京都の巨匠・木島櫻谷 画三昧の生涯 |
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会期 |
2025年4月26日(土)~ 2025年 7月6日(日) |
開館時間 | 10:00〜17:00(最終入館 16:30) |
休館日 |
5月13日(火) 6月17日(火)設備点検 |
場所 |
福田美術館 (京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16) |
入館料 |
一般・大学生:1,500(1,400)円 ※( )内は20名以上の団体 料金
※福田美術館のオンラインチケットをご利用の方は、嵯峨嵐山文華館を団体割引料金で利用可能。従って、共通券と同じ金額で両館を利用することができます。オンラインチケットには利用日に制限がありますが、9:30から入れる朝活チケットもございます。ぜひご利用ください。 |
後援 | 京都府 京都市 京都市教育委員会(予定) |