進撃の巨匠 竹内栖鳳と弟子たち
2024年初春、京都・嵯峨嵐山の福田美術館では、生誕160年を記念して、竹内栖鳳とその弟子たちに焦点を当てた展覧会を開催いたします。
竹内栖鳳(1864~1942)は、近代の京都を代表する巨匠です……というよりも、彼を無視して明治以降の京都の美術史を語ることは不可能なほど、比類なき大きな存在です。
栖鳳が、その後の京都の日本画の進む方向を定めたと言っても過言ではありません。本展は、そんな彼の「力」に迫るものです。
近世と近代を縦断する福田美術館のコレクションより、若き日の栖鳳が跳躍する力を蓄えるべく参考にした師、幸野楳嶺ら先人たちの作品。東洋だけではなく西洋の表現をも取り込み、縦横無尽な機動性を感じさせる栖鳳自身の作品。さらに、栖鳳に導かれそれぞれに優れた個性を発揮した、西山翠嶂や上村松園、土田麦僊、村上華岳や入江波光、福田平八郎や徳岡神泉らの作品までも展示します。
「進撃」とは「競いながら前進を続ける」の意。栖鳳と弟子たちの明治・大正・昭和を通じて続いた無双の快進撃が生み出した作品の数々が持つ力が、令和というその後の時代を生きるわたしたちにも強く訴えかける展覧会です。
第1章では、円山応挙以来の京都画壇の流れを紹介しつつ、先人たちの技法に工夫を加え自 身の芸術を完成させた竹内栖鳳の作品を展示します。当時最高峰の画家であり、今もその輝き を失わない彼ならではの卓越した筆の技、構図の妙、色彩の美が、彼の作品26点を通して堪能 できます。西洋の技法を取り入れて描かれたリアルな「金獅図」をはじめ、栖鳳によって描か れた動物画は見どころの1つです。栖鳳が実際にヨーロッパに渡って実物を見ながらスケッチ したことから生まれる写実性や光の表現は、戦前の京都画壇に新たな風を吹き込みました。
第2章では、初出品となる西山翠嶂の《陽光櫻花》を はじめ、上村松園、西村五雲など、栖鳳の背中を追っ た優れた弟子たちの作品を展示します。早くから新し い日本画の描き方を模索した彼らの作品は、官展で優 れた評価を受けられないという現実もありました。本 章には文展の評価を不服とした小野竹喬、土田麦僊、 村上華岳ら新進気鋭の日本画家により結成された国画 創作協会の面々の作品も並びます。文展の審査員でも あった栖鳳は、彼らの作風を否定することなく、果敢 な進撃を後方から支援します。彼らの個性を認め育ん だ栖鳳という教育者の、秀でた影響力を問い直します。
終章となる第3章では、小野竹喬、福田平八郎、 池田遙邨など、戦後まで活動した栖鳳の弟子たち の作品を展示します。戦後、日本画は岩絵具の色 と質感を最大限に発揮する厚塗りへと転換してい きますが、彼らはその美意識の激変を乗り越えて 優れた作品を生み出し、名を馳せます。それは、 師風を受け継ぐことこそが尊いという近世までの 価値観を脱し、個性の追求が求められた時代に快 進撃を続け半世紀に渡って創作活動を続けた巨匠、 栖鳳の生き様にも重なるものでした。
展覧会概要
タイトル | 進撃の巨匠 竹内栖鳳と弟子たち |
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会期 |
2024年1月18日(木)~2024年 4月7日(日) |
開館時間 | 10:00〜17:00(最終入館 16:30) |
休館日 |
3月5日(火)展示替え |
場所 |
福田美術館 (京都市右京区嵯峨天龍寺芒ノ馬場町3-16) |
入館料 |
一般・大学生:1,500(1,400)円 ※( )内は20名以上の団体 料金
※福田美術館のオンラインチケットをご利用の方は、嵯峨嵐山文華館を団体割引料金で利用可能。従って、共通券と同じ金額で両館を利用することができます。 |